【間質性肺疾患を伴う指定難病:難病法・難病医療費助成制度に関する調査】制度利用者・非利用者ともに改正難病法の成立について認知度が半数に届かず、制度周知を医師、患者双方に行うことが今後の利用率向上に寄与

2024年2月22日 [木]

株式会社QLife(キューライフ/本社:東京都港区、代表取締役:有瀬和徳)と日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:荻村正孝、以下、日本ベーリンガーインゲルハイム)は、間質性肺疾患に関連する指定難病と診断され治療を受けている患者さんおよび間質性肺疾患を伴う指定難病患者さんを診療している医師を対象に、難病医療費助成制度に関する調査を行いました。本調査は、最近の難病法・難病医療費助成制度における変更事項についての浸透度や理解度を明らかにし、また難病医療費助成の利用上の課題やニーズを抽出することで、患者さんの治療環境を整えていくための知見を得ることを目的として実施しました。

患者調査は20~79歳の男女(男性:41.4% 女性:58.0%、答えたくない:0.6% 有効回答数:500名)にインターネット調査を実施し、調査期間は2023年10月20日~10月24日です。

医師調査は難病指定医・協力難病指定医で、最近1年間に調査対象の指定難病で間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症を含む)を伴う患者さんを診療している医師(有効回答数:200名)にインターネット調査を実施し、調査期間は2023年10月19日~10月23日です。
今回の調査結果から、以下のような現状が示されました。

※結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、全身性強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、特発性間質性肺炎、肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)
(注)構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%とはなりません。

① 難病法・難病医療費助成制度についての認知度

■患者:制度利用者の改正難病法成立に関する認知度は43.9%

  • 難病法および難病医療費制度についての認知度を患者さんにアンケートをした結果は次の通りである(利用患者:241名 非利用患者:259名)。
  • 2022年12月に改正難病法が成立したことに対して、「内容までは把握していないが、聞いたり見たりしたことがある」(利用患者:29.0% 非利用患者:36.3%)、「内容を把握している」(利用患者:14.9% 非利用患者:8.1%)と答え、認知している患者さんが制度利用者では43.9%、非利用者では44.4%となった反面、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」(利用患者:56.0% 非利用患者:55.6%)と答えた患者さんが半数以上となった。
  • 今後、重症と診断された時点にさかのぼって医療費助成を受けられることに対しては、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」が最も多く、利用患者さんの68.5%、非利用患者さんの66.0%であった。
  • 一部の指定難病は診断基準等のアップデート(見直し)が進められていることに対しても、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」が最も多く、利用患者さんの70.5%、非利用患者さんの67.6%と高い割合となった。

■患者:制度利用者の改正難病法成立に関する認知度は43.9%

  • 難病法および難病医療費制度についての認知度を医師にアンケートをした結果は次の通りである(医師:200名)。
  • 2022年12月に改正難病法が成立したことに対して、「内容までは把握していないが、聞いたり見たりしたことがある」(46.5%)が最も多く、「内容を把握している」(29.5%)と続いた。「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」が24.0%となった。
  • 2023年10月より、重症と診断された時点にさかのぼって医療費助成を受けられることに対しては、「内容までは把握していないが、聞いたり見たりしたことがある」(43.5%)が最も多く、次いで「内容を把握している」(32.5%)、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」が24.0%であった。
  • 一部の指定難病は診断基準等のアップデート(見直し)が進められていることについては、「内容までは把握していないが、聞いたり見たりしたことがある」(40.5%)が最も多かったが、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」が32.5%となった。

(注)構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%とはなりません。

②主治医を通じて制度を認知する患者さんの割合が高いが、助成対象となりえる指定難病の患者さんに必ず紹介している医師は26.0%

■患者:認知経路で最も多いのは主治医

  • 難病医療費助成制度の認知経路を患者さんに聞いた結果は次の通りである(利用患者:241名 非利用患者:191名)。
  • 制度について認知している患者さんを対象に「制度についてどこから知ったのか」を聞いた結果(複数回答可能)、認知経路で最も多いのは「主治医」(利用患者:70.5% 非利用患者:35.1%)、次点は「通院先の相談窓口」(利用患者:19.9% 非利用患者:13.6%)、「自治体の窓口」(利用患者:10.0%、非利用患者:12.6%)と続いた。
  • 非利用患者さんでは「家族・知人・友人」を通じて認知した人が15.2%と主治医に次いで多いことがわかった。

■医師:要件を満たす可能性がある患者さんに情報提供している割合が半数程度

  • 指定難病患者さんに対する難病医療費助成制度に関する情報提供について、アンケートした結果は以下の通りである(医師:200名)。
  • 最も多いのは「要件を満たす可能性がある患者さんに紹介する」(52.0%)で、「重症度に関わらず指定難病の患者さんには必ず紹介する」(26.0%)、「確実に要件を満たすと判断した患者さんに紹介する」(13.0%)、「自分からは紹介しない」(9.0%)と続いた。

③申請時の「条件」「費用」「更新手続き」に改善ニーズあり

■患者:難病医療費助成を利用しているか否かで改善ニーズに差がある

  • 難病医療費助成の申請をしたことがある患者さんに改善ニーズをアンケートした結果は、以下の通りである(利用患者:241名 非利用患者:89名)。
  • 最も多いのは「申請書類にかかる費用の軽減」(利用患者:50.6% 非利用患者:36.0%)、次いで「受給者証の更新手続きの頻度の低減」(利用患者:48.5% 非利用患者:23.6%)、「申請書類の種類・数の削減」(利用患者:38.6% 非利用患者:33.7%)であった。
  • 利用患者さんでは「費用」「更新手続き」についての改善ニーズが高く、非利用患者さんでは「軽症者や医療費が高額でない患者への助成」(利用患者:27.8% 非利用患者:34.8%)や「居住地(都道府県)による認定率のばらつきの解消」(利用患者:14.9% 非利用患者:24.7%)で利用患者さんよりも高い傾向である。

■医師:条件の整備を望む医師が半数程度

  • 指定難病患者さんに対する難病医療費助成制度に関する改善ニーズについて、アンケートした結果は以下の通りである(医師:200名)。
  • 最も多いのは「助成対象の条件(重症度分類)の整備」(48.0%)、次いで「軽症者や医療費が高額でない患者さんへの助成」(38.0%)、「居住地(都道府県)による認定率のばらつきの解消」(35.0%)であった。
  • 患者さんの申請手続きや費用負担の軽減を望む声が回答者の約3割にみられた。

患者団体のコメント

一般社団法人 全国膠原病友の会(代表理事:森 幸子氏)

今回の結果から、難病医療費助成制度に関して、必要としている患者さんに情報が届いていない可能性があることがわかりました。制度について知る主な経路が主治医、という結果になりましたが、体調が悪い時に患者さん自ら情報収集をすることは困難であり、また患者さんは診断を受けた時から将来へのさまざまな不安を抱えているため、確定診断がついたときにぜひ主治医から情報提供していただきたいと考えています。ただ主治医や医師等も日々の業務でお忙しいため、例えば、難病相談支援センター等の相談窓口を記載したカードやガイドブックを主治医や医師等のお手元に置いておいてすぐ配布できるようにするなど、医師・患者さん双方に役立つツールが今後さらに普及すること、またそのツールが確実に患者さんの手に渡る方法の検討が必要です。また制度が複雑であり、申請手続き上の格差が生じていないか懸念されます。制度に関する用語も難しく、理解しやすい資料の作成が望まれます。申請費用の軽減や更新手続きの頻度の減少について要望があることがわかりますが、行政として患者さんの最新の状況を把握するという目的もあり、今後デジタル化等による効率化を期待したいと思います。

監修医のコメント

札幌医科大学 医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座 教授 千葉 弘文 先生

難病法や難病医療費助成制度に関する情報の浸透度や制度利用の課題に関する調査は、これまであまり実施されていなかったため、今回の調査は大変意義あるものと考えています。今回の調査結果から、患者さん側にも医師側にもまだ十分制度内容や制度変更についての情報が届いておらず、制度の周知に課題があることがわかりました。また患者さんだけでなく、医師からも助成対象の条件の整備や、申請手続きの負担の軽減といった、利用面での改善を期待する声が多いことも、改めて確認できました。
今回の調査は、間質性肺疾患に関連する指定難病を抱える患者さんを対象としたものでした。間質性肺疾患は早期治療が重要であり、また治療費の自己負担が大きいため、患者さんが安心して治療に専念できるよう、国や自治体、医療従事者など患者さんを取り巻く組織や人たちが患者さんと一緒に、助成制度利用の環境を整えていく必要があると考えます。

調査概要

■患者調査
調査期間:2023年10月20日~2023年10月24日
調査対象:20~79歳の調査対象の間質性肺疾患に関連する指定難病に罹患していて、現在医療機関で治療を受けている患者
調査方法:インターネット調査(有効回答数500)

■医師調査
調査期間:2023年10月19日~2023年10月23日
調査対象:以下に該当する医師

  • 難病指定医・協力難病指定医
  • 最近1年間に調査対象の指定難病で間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症を含む)を伴う患者を診療している

調査方法:インターネット調査(有効回答数200)
※結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、全身性強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、特発性間質性肺炎、肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)

QLifeについて

株式会社QLifeは、エムスリー株式会社のグループ会社として、「生活者」「医療従事者」「製薬・医療機器メーカー」の三方向にサービスを提供しています。これらの基盤を活用し、医療業界の様々な課題を解決する、メディカルマーケテイングを実践しています。詳細は、ウェブサイトをご覧ください。(https://www.qlife.co.jp

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムは、世代を超えて生活を変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出を目指しています。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的かつサステナブルな視点を維持しています。ヒト用医療用医薬品とアニマルヘルスの2つの事業分野において、53,000人以上の社員が世界130ヵ国以上で事業を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com/2022/
(アニュアルレポート 英語)

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株式会社QLife TEL:03-6860-5020/E-mail:info@qlife.co.jp

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