2025年3月03日 [月]
株式会社QLife(キューライフ/本社:東京都港区)は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)患者さんとその家族を対象とした実態調査を行い、その結果を「IBD白書2024」として発表しました。本調査はQLifeが運営するオウンドメディア「IBDプラス」が2018年から2年に1回実施しているもので、今回で4回目の調査となりました。
■主な調査項目
■調査サマリ
今回4回目となった本調査ですが、初めて回答した人が約7割だったことから、従来から回答者が入れ替わり、重症度や診断時年齢の傾向が変わったことが推察されました。
また、生物学的製剤の使用割合増加については、2022年以降、在宅自己注射が可能な製剤が発売されるようになったことも背景にある可能性が考えられました。
中高年以上での診断割合が増えた背景には、IBDという病気が認知されるようになったことで、「症状があっても我慢していた人」が体調の異変に気付いて受診するようになったこと、さらにIBDを診ることができる医師が増えて診断がつくようになったことが可能性として考えられました。IBDは10~30代の若年発症が多い病気ですが、これを機に、中高年の患者さん向けの情報発信にも注力していきたいと考えています。
■現在使用中の薬剤名・治療法
最も多く使われているのは、潰瘍性大腸炎では「5-ASA製剤」(73.1%)、クローン病では「生物学的製剤」(63.9%)でした。2番目に多く使われているのは、潰瘍性大腸炎では「生物学的製剤」(33.4%)、クローン病では「5-ASA製剤」(59.8%)、3番目は、潰瘍性大腸炎では「ステロイド」(20.9%)、クローン病では「経腸成分栄養剤」(43.8%)でした。
潰瘍性大腸炎で生物学的製剤を使用していると回答した割合は、2020年22.9%、2022年27.4%、2024年では30%を超える結果になりました。また、JAK阻害薬も同様に、2020年2.4%、2022年4.7%、2024年では11.1%と増加傾向にあることがわかりました。さらに、2023年から開始されたばかりの「腸内細菌叢移植療法」も2人の回答がありました。
生物学的製剤に関して、入院経験の有無と関連するかを解析したところ、潰瘍性大腸炎では、生物学的製剤の使用経験がある人で、入院経験がない人が多い(Fisherの直接法、p=0.000)ことがわかりました。一方、クローン病では同様の傾向は確認されませんでした。
■治療満足度
全体の約7割が「満足」「やや満足」と回答し、「不満」「やや不満」と回答したのは7.0%でした。前回調査同様、潰瘍性大腸炎・クローン病に関わらず、全体的に治療満足度は高い傾向にあることがわかりました。また、治療に満足していると感じている人の割合が有意に高いのは、「女性(71.2%)より男性(79.8%)」、現在の重症度が「中等症以上(68.4%)より軽症以下(80.2%)」、就労形態が、「フルタイム以外(70.1%)よりフルタイム勤務(79.7%)」でした。
(Fisherの直接法:*p<0.050, **p<0.010)
目的:IBD患者の治療や生活についての実態把握
対象:IBDと診断された患者および家族
方法:インターネット調査
期間:2024年11月20日~11月30日
実施:株式会社QLife IBDプラス編集部
回答数:606(有効回答者数:562)
潰瘍性大腸炎が65.5%(368人、うち患者本人が86%・319人)
クローン病が34.5% (194人、うち患者本人81.7%・142人)
男性39.3%、女性60.2%