2016年9月30日 [金]
QLifeは、「かかりつけ薬剤師」制度について、調剤薬局での現場実態を調査した。調剤薬局に勤務している薬剤師300人を対象にインターネット経由で訊いたもの。
それによると、「かかりつけ薬剤師」制度への対応に、経営規模や立地種別で大きな差があることがわかった。中~大手チェーンは「かかりつけ」指名獲得の「ノルマ」「報奨」を設ける(34%)など積極的だが、小規模経営者は消極的で、特に単店(個店)では9%しか「(保険制度上の)かかりつけ薬剤師」になろうとしていない。
個人の姿勢としても、慎重派が大勢を占める。積極派であっても48%が患者から同意をとるのは「難しい」と実感しており、また多数の指名を受諾することは業務キャパシティから困難という構造的問題も挙げられた。その代わり、いったん指名を受けた場合には70%がその役割を「完全に/ほぼ果たせている」。
なお、厚労省が掲げる今後の薬剤師像と現状とのギャップも判明した。経営規模別や立地種別で傾向差はあるものの、7つの業務項目のうち「処方提案」「在宅管理」といった一歩踏み込む仕事にはそれぞれ41%、32%の薬剤師が「自信ない」と答えた。
今回の結果について、東京理科大学薬学部臨床准教授の水八寿裕先生は以下のコメントをした。「“かかりつけ薬剤師”の責務を考えると、おのずと一人が受け持てる患者数には限界がある。やみくもに指名数を増やせというのではなく、より必要性が高い患者さんを選定することが重要だ。“同意を得ることが難しい”と感じている薬剤師が多いが、その解決策にもなるだろう。医薬品を継続して交付している患者さんをしっかり把握して、適切な患者さんをフォローする体制を組織的に考えて欲しい」。
※本調査の報告書は http://www.qlife.co.jp/news/160930qlife_research.pdf からダウンロード可能
▼調査主体
株式会社QLife(キューライフ)
▼実施概要
(1) 調査対象: 調剤薬局に勤務している薬剤師
(2) 有効回収数:300人
(3) 調査方法: インターネット調査
(4) 調査時期: 2016/08/10~2016/08/20
▼「かかりつけ薬剤師」に関する実態調査結果報告書
http://www.qlife.co.jp/news/160930qlife_research.pdf